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【どこまでする?ビジネスマナー】訪問・来客対応編㊦

  • 【どこまでする?ビジネスマナー】訪問・来客対応編㊦
  • マナーハウス大分の高清水理奈子代表
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 訪問先で打ち合わせが終わり「さあ、帰るぞ」と心の中でつぶやく。打ち合わせをしていた部屋から出て「こちらで大丈夫ですよ」と、声をかける。先方の方は「いえいえ、お送りします」と、会社の外まで見送ってくれた。別れ際にあいさつをして歩き始める。この時に、私の頭の中は「見送り続けて、まだ立っているかな…振り返った方がいいのかな…どこで振り返ってあいさつしようか…」。決心を決め振り返る。すると、相手が笑顔でこちらを見て会釈。相手へ配慮ができたのではないかと心の中で「よっしゃー」と、満足して帰る。

 訪問・来客対応編㊤に引き続き、マナーハウス大分の高清水理奈子代表に来客対応のマナーについて聞いた。
 高清水さんに、前段に書いた訪問の話をすると、マナーでの観点を含めてこう話した「気持ちは分かります。ただ、別れ際にあいさつをしたのであれば、振り返らなくていいんですよ」。来客対応のマナーでは、見えなくなるまで見送る―とあるが、訪問側がわざわざ振り返ってまであいさつする必要はないとのこと。「ただ、来客対応した人は、悪い気分にはならないでしょう」と、付け加えた。
 
▽来客対応のマナー

 大切な人ほど出迎えと見送りをしたい。ただ、別の仕事など忙しいこともあり、毎回出迎えできるわけではない。そこで、社内で情報共有することがポイントだ。「●時に▲▲会社の■■さんが来社する」などの共有があれば、相手が会社に来た時に、受付の方などが「■■様。お待ちしておりました」など、来客者への対応ができる。
 それと情報共有は、来客した人をスムーズに案内する役割もある。せっかくアポイントを取ってきているのに、受付などで時間を取り、バタバタするのは防ぎたい。自身が出迎えをできなくても出迎える体制をつくることが肝要だ。
 ㊤でも指摘したが、来客者を部屋などへ案内する人は、部屋に通すだけに終わらず、上座の席に案内までする。座ったことを見届けてから「少々お待ちください。●●を呼んでまいります」などと声をかけるとよい。少しでも来客者の不安を解消してあげよう。
 飲み物を出すのであれば、温かい飲み物は温かいうちに、冷たい飲み物は冷たいうちに勧める。話が続くと飲むタイミングを失ってしまう。相手が飲みやすくするために「よかったらどうぞ」など、勧める言葉を伝えたい。
 また、飲み物を置く場所には、書類などを並べることがあるため、来客者の正面ではなく右側に置く。その時に手前では、体に触れたりして下に落ちることがあるので、奥側がよい。注意点は来客者がどの飲み物が自分のものかを分かりやすくするために、その人から遠ざけないようにする。
 見送りは、基本的に会社の外に出て、相手の姿が見えなくなるまでする。ただ、そこまでしなくても、せめて自身のテリトリー(会議室や応接室など)から出て見送りをする。例えば自社の4階会議室で打ち合わせをしているのであれば、会議室を一歩でも出て見送るか、エレベーターまで行って見送るとよい。

▽気をつけたいポイント

 すべての会社が当てはまるわけではないが、気をつけた方がよいポイントがある。それは、会社の入り口や駐車場が分かりにくい場合、事前に会社への入り方や入り口の場所を相手に説明する。相手が迷ってしまっては、時間ももったいない。相手の不安を解消することは、大切なマナーである。
 訪問する時も来客対応する時も、相手のことを思う気持ちや、相手の不安を少しでも取り除くことが肝心である。ただ、ビジネスという大前提を忘れないようにしたい。“気遣い合戦”はできるだけ避け、有意義な時間を増やしたい。丁寧さの中にもスマートさやスピード感を意識するとよいだろう。(河野仁志)

 ◇ ◇ ◇

 みなさんの「疑問に思っている」「気になっている」「分からない」ビジネスマナーについて、お聞かせください。それを参考に高清水さんへ質問します。これまでも寄せられた質問(飲み会の2次会)について高清水さんが答えています。

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