大分合同新聞プレミアムオンラインGate

【事業承継 現場から】森食品(日田市)

代表を引き継いだ森敬子さん(左)と母親のタミ子さん
代表を引き継いだ森敬子さん(左)と母親のタミ子さん
  • 代表を引き継いだ森敬子さん(左)と母親のタミ子さん
  • 商品は約20種類。「全国梅干コンクール」や各種品評会などで多数の受賞歴がある
  • 梅干しをパック詰めする敬子さん(中央)とタミ子さん(右)ら
  • 梅干しに使うシソも自家栽培
share
 主力商品の梅干しをはじめ、ゆずこしょう、ドレッシングなどを製造販売する森食品(日田市大山町)。「安心、安全の商品を大山町から届けたい」と原材料の栽培から商品開発、加工、販売までを手がけている。2022年1月、森タミ子さん(76)から次女の敬子さん(50)が代表を引き継いだ。親子二人三脚、森家に代々伝わる味を守りつつ、新たなファンを増やすための挑戦を続ける。

■「週休2日制」と商品絞り込み

 梅干しは梅とシソ、塩のみで作る。梅はタミ子さんの夫、義行さん(76)が中心となって栽培。完熟するまで丹念に育てたものを使っている。果肉が柔らかく、酸味が少ないまろやかな味わいが特長だ。森家に伝わる昔ながらの製法で、塩漬け、天日干し、本漬けの工程を経て、2~3カ月保存したものを出荷している。
 冬場に売り上げが落ち込むことから、打開策として他の産品を使った加工品も製造している。「たみちゃんブランド」として着実に消費者へ浸透。看板商品の一つに育てたゆずこしょうのドレッシングは、年間で千本以上を売り上げる。
 事業承継に向けた取り組みは4年前に始めた。タミ子さんは「夫婦共に70代となり、世代交代が必要と感じていた時期だった」と振り返る。敬子さんは勤めていた地元の金融機関を40歳の時に退職し、家業を手伝っていた。事業承継に関するセミナーや研修を親子で受講し、地元商工会などのサポートを受け手続きはスムーズに進んだ。個人事業主のため、タミ子さんが廃業し、敬子さんが開業するという形で引き継いだ。承継のタイミングで商品の販売が途切れないよう、食品衛生などの許可の申請も計画的に実施した。
 代表となった敬子さんはまず、働き方改革に着手した。「休まない両親のため」に週休二日制を導入した。約40種類にまで増えていた商品を売れ筋の20種類に絞り、無理のない製造スケジュールを組んだ。

■ネット販売や新商品開発に力

 最近は、新型コロナウイルス禍に始めたインターネット販売を強化している。県外からの注文も少しずつ増えているという。
 商品開発にも力を入れる。承継後に新商品「梅干し飴(あめ)」を自ら企画した。敬子さんは「若い人にも手に取ってもらえるようなパッケージと、強すぎない酸味、なめてもかんでも楽しめる食感にこだわった。若者の梅干し離れが進んでいる。飴をきっかけに、大山の無添加の梅干し、加工品に興味を持ってほしい」という。
 大山町では梅が実り、そろそろ収穫期を迎える。敬子さんは毎年、タミ子さんに梅干しづくりの指導を仰いでいる。「森食品の梅干しがいいと楽しみにしてくれているお客さんのためにも頑張っていきたい」と話す。タミ子さんは「私も試行錯誤しながら森家の味を磨いてきた。経験を積んでいけば大丈夫」と笑顔で語った。

Company info

会社名 森食品
創業 1990年
所在地 日田市大山町
従業員数 5人

こちらの記事もおすすめ

ニュース