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【スポーツ議論百出】柚野真也

柚野真也【スポーツ議論百出】
柚野真也【スポーツ議論百出】
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 ここ最近の話だが、スポーツの取材現場で選手や親御さんから「僕は大学で通用しますか?」「ウチの子はプロを目指せますか?」と聞かれることが何度かあった。返答は決まって「それは分かりません」となる。
 冷たいようだが本当に分からない。変に期待を持たせるわけにもいかない。おそらく聞く方は「大まかに通用するか、可能性があるか」を聞きたいのだろう。ただ、プロや大学のレベルもピンからキリまである。意地悪な見方をすれば、「上を目指せますよ」と答えたら必死になって練習し、「厳しいですよ」と指摘したら諦めるのだろうか。もしそうであれば、最初から上のカテゴリーを目指すのは無理だろう。
 人生のなかで競争は避けては通れない。あまりに早く結論を欲しがり、何かの保証を求める今の中学、高校年代の結果至上主義の風潮に違和感がある。スポーツをすることが喜びであり、走ったり、投げたり、蹴ったりすることが楽しい、といった感情が競技の原点だ。
 その競技が好きで、うまくなりたい。強くなりたい。この純粋な思いこそが、一人の選手を大きく成長させる原動力となる。この思いを強く持てる選手が、次のカテゴリーでの活躍の場が与えられる。そのことは、はっきりと言える。
 間もなく県高校総体が始まる。この大会を最後に競技を離れる選手もいるだろうし、さらなる高みを目指す選手もいるだろう。どの競技を見ても爽やかに見えるのは、今を楽しみ、今にすべてをかけ、全力を出し切ろうとする選手がいるからだろう。
 楽しんでいる選手が多ければ多いほど、スポーツを見る側にとっても魅力あるものになる。高校生のはつらつとしたプレーを見ていると、スポーツの原点やいろいろな側面が頭を駆け巡る。

Profile

 ゆの・しんや 1974年生まれ。プロ、アマ問わず、あらゆるスポーツを幅広く取材。現在は「オー!エス!OITA SPORTS」で編集長を務める傍ら、新聞や雑誌、ウェブなど各媒体で執筆する。一般社団法人日本スポーツプレス所属。大分市出身。

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