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【大分発“おいしい”米粉】① 田んぼのパン工房 虹の穂(大分市)

一番人気の米粉食パン
一番人気の米粉食パン
  • 一番人気の米粉食パン
  • カレーパン(右下)など36種類のパンやフライがある
  • 田んぼのパン工房 虹の穂=大分市末広町
  • 松下尚一取締役
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 米粉の需要と米粉用米の生産量が近年、拡大している。グルテンフリーや小麦アレルギーといった消費者ニーズの多様化もあり、製造や加工業者はさまざまな商品開発を進める。大分県内では企業が連携し、生産から製粉、加工までを県内でする「米粉バリューチェーン」が機能。さらなる普及と認知度アップに向けた取り組みを取材した。


 米粉100%で無添加のパン専門店「田んぼのパン工房 虹の穂(大分市末広町)」。5年前のオープン以降、じわじわと県内外にファンを増やす。現在は週3回の店頭販売に加え、インターネット通販で全国に商品を届ける。リピーターと新規が半々。小麦アレルギーやグルテンフリーの食材を求める人たちが主に利用するという。大都市にある複数の有名ホテルにも納品している。

 一番人気は米粉食パン。一般的に、米粉で作るパンは小麦に比べて膨らみにくい。虹の穂は米粉の製粉を手がけるライスアルバ(同市野津原)に米粉を特注し、液状の生地にしてパンを作る。ふわっとして、ほんのり米の甘みが感じられる食パンは、大量生産が難しい。店頭では1日3~4斤分、ネット通販でも多くて一日35斤ほど。予約のみの販売にとどまる。

 常に新しい商品開発に取り組んできた。市内の飲食店に依頼し、グルテンフリーの冷凍フライを開発。3月、発売した。米粉は小麦粉より油を吸収しにくい特徴があり、モニター調査でも「少ない油でからっと揚がる」と好評という。エビフライ、チキンカツ、とんかつなど5種類。虹の穂によると、グルテンフリーで衣が付いた冷凍フライは全国でもほぼ例がないという。

 同店を運営するMATSUMAI(マツマイ)の松下尚一取締役(36)は「バケットやカンパーニュといったフランスパン、ミートパイなど『米粉では難しい』と言われる商品に挑戦してきた」。開発には苦労し、オープン当初は納得する味が出せず赤字に。作るパンごとに生地の配合を変えるなど試作を繰り返すうち、徐々に顧客が増えた。現在はバターと乳製品、卵だけで作るブリオッシュを試作中。今月内の発売を目指す。

 来年、新工場に移転予定。生産量を3倍に増やし、より多くのニーズに対応していく。松下取締役は「将来的には世界進出し、フランチャイズで米粉と技術を伝えたい」と意気込んでいる。

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