大分合同新聞プレミアムオンラインGate

【県内の最新「ZEB」事例】② 自社の導入を建設部門の強みに

4月から使用している新社屋にZEBを取り入れた西日本土木豊後高田本社。社屋北側は全面窓にするなど、光を取り込む工夫に加えデザイン性にもこだわる=豊後高田市新地
4月から使用している新社屋にZEBを取り入れた西日本土木豊後高田本社。社屋北側は全面窓にするなど、光を取り込む工夫に加えデザイン性にもこだわる=豊後高田市新地
  • 4月から使用している新社屋にZEBを取り入れた西日本土木豊後高田本社。社屋北側は全面窓にするなど、光を取り込む工夫に加えデザイン性にもこだわる=豊後高田市新地
  • 新社屋にZEBを導入した(左から)建築工事部の江藤秀徳次長、井元克幸常務取締役、人事総務部の溝部正雄次長
  • データの見える化を実現する、さまざまなデータを可視化できるモニター
share

バックナンバーはこちら

 総合建設業の西日本土木は、豊後高田本社(豊後高田市新地)の新社屋にZEB(ゼブ=Net Zero Energy Building)を導入し、4月に使い始めた。主要事業の砕石部門で多くのCO2を排出するだけに、少しでも削減に努める責務を自覚。自社屋での導入経験を、建築部門の強みにもしていきたい考えだ。

▶「これから先は当たり前に」
 砕石部門は道路用路盤材やコンクリート、アスファルトを作るための骨材となる砕石について、原石山の開発から採取、プラントでの破砕、出荷まで担う。
 砕石所は県内外に9カ所あり、西日本でも最大の産出量を誇る。プラント、重ダンプ、重機など、電気や軽油などを多く使わなければならず、CO2の排出量は年間合計で9200トンにも及ぶ。
 旧社屋が築50年を迎え、耐震の問題もあって自社施工で新築することに。これを契機にCO2削減と環境対策についてもできることから取り組もうと、ZEBの導入を決めた。井元克幸常務取締役(58)は「これから先、ZEBが当たり前になる。せっかくの機会、当たり前になる前に自分たちで建てようと考えた」と狙いを説明する。
 他の多くの事例と同様に、環境省の補助金を活用して費用を賄っている。「建てる前に、建てた後の使い方など検討する期間をしっかり持つべきであり、本来の目的をしっかり持つことが重要」と井元常務取締役。建築のノウハウや使用経験も含め、建築部門の武器にしていく方針で、ZEBプランナーの申請も予定している。ZEB関係を担当した同社建築工事部の江藤秀徳次長(49)は「施工から補助金の申請まで、一連の流れを経験しているからこそのアドバイスができる」。業界をリードしさまざまな提案をしていこうと意気込む。

▶新たな働き方や生産性向上に
 砕石所自体のCO2削減にも積極的に取り組んでいる。10年前から新しいプラントや重機への設備投資を重ね、エネルギー効率を上昇。CO2を2割ほど削減してきた。久原砕石所(熊本県山鹿市)ではZEB導入とほぼ同じタイミングで、自家消費型の太陽光発電施設を設けた。プラントの総電力量の約半分を賄う想定。今後、他の砕石所にも設置を予定している。
 新社屋のZEB導入で「快適性はもちろん、新たな働き方や生産性向上につながる」と、社全体の“革新”効果を期待する、人事総務部の溝部正雄次長(49)。環境対策やCO2削減に取り組む企業という社のブランディングとともに、社員意識の変化にもつながることを期待している。

こちらの記事もおすすめ

ニュース